鳥の巣箱

せまいところですが、ごゆっくり

【アルバニア旅行②】バスの乗り換えと現地の男などTirana-Berat-Pogradec

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ベラトの城跡にあったお土産屋さん

Googleマップを使えって話

翌朝、コミュニスト・ホステルを後にした。バス停はどこかと聞くつもりだったけど忘れてしまって、また取り敢えず歩いた。朝のティラナは野犬の群が会議している以外は変わったところはない。何となく道端で「やあ」って話し始める人が多い気がしてやっぱラテンだなと思う。歩いてもバス停らしき所に着きそうにないので、「旅行会社」と書いてあるお店に入ってみた。

 

鳥「エクスキューズミー」

女の人が顔をあげる「ノーイングリッシュ」

 

 

喋っとりますやん。もう1軒入ってみた。

 

 

鳥「すみません、バス停に行きたいのですが」

おじさん「(怪訝)何のバスだ」

鳥「他の町に行くバスが発着する駅があるでしょう?それどこ?」

おじさん「だからバスでどこ行くんだ」

鳥「まだ決めてないけど、とにかくバス停に行きたいのよ」

おじさん「(イラっとしながら首を振る)」

鳥「じゃあ、わかったベラトってとこに行きたいの」

おじさん「(めっちゃ切れてる)知らん」

 

結構心折れる。嘘、そんな。長距離バスが発着する拠点ってそんなたくさんあんの?

それか、そもそもティラナから地方に行く人がいないとか?確かに旅行会社の外壁にはパリ行きいくら、とかNY行き、ローマ行きっていう字しかない。外国に行く航空券とかツアーを売っているようだ。国内旅行しないのか?

 

とりあえず、ティラナから近いベラトっていう観光拠点に行くことにして聞いてみた

 

鳥「すみません、ベラトに行く方法を知りませんか?」

おばさん「(口角下げて首を振る)」

 

これ×3回くらいあった。ベラトは私がネットでチョチョイと調べてヒットするぐらい有名な観光地なはず。なぜみんな知らない??もしかして英語喋るのめんどくて首振ってるだけ??泣きそうな顔でもう一軒入った。

 

鳥「すみません、ベラトっていう所に行きたいのですが行き方知りませんか?」

お姉さん「ベラト?知らないわ」

鳥「あぁそうですか・・・」

お姉さん「でも私のお友達がこの前遊びに行ったって言ってたから電話して行き方聞いてみるわね」

鳥「!!(天使降臨!)」

 

お姉さんはその場で電話して、聞いてくれた。その後グーグルマップを印刷してくれて行き方を懇切丁寧に教えてくれた。「○番のバスが中央広場から出るから、それに乗って何個めのバス停で降りるのよ、目の前にバスステーションがあるはず」「あ、ありがとうございます!!」本当に死ぬまで忘れないこの優しさ。お姉さんはメガネをかけていて頭が良さそうで、事実英語が流暢で、テイラースウィフトをスピカーで聞いていた。イタリアよりもアメリカ文化が好きなのかもしれない。

実はバス停が2つあり、行き先によって区別があって一回まちがった所に行ってしまったが無事についた。バスに乗ると達成感でいっぱいだった。普段は滅多に自分から声を上げない自分が一人旅で他人に尋ねるという原始的な方法で旅してる!すごい私!

この1週間後グーグルマップを使えばwifi環境で設定して、wifi環境から外れてもGPSは使えるので誰にも聞かなくても目的地にいけると学んで無知を恥じるが。

 

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多分ベラトはギリシャにすごく似てる

2、3時間でティラナからベラトについた。そこからは怖いもの知らずだった。すぐに駅にいる人に聞いた「中心部にはどう行けばいい?」「そこからバスが出るよ」バスに乗ってからも運賃徴収係にすぐ聞いた「ここに行きたいの(目当ての宿の住所を見せる)」「(黙って頷く)」バスがしばらく走ると止まった。運賃徴収係は私をみて頷く。当たり前の事が出来るって素晴らしい。

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そこは確かに街の中心に近いようだった。並木道があってすごく気持ちがいい。ティラナの騒音と埃から解放されてベラトは太陽が澄んだ空気を通ってキラキラしてた。前方からおばさんが一人歩いてくる。すかさず声をかける。「ここに行きたいんです」おばさんは少しびっくりしながらも、おいで一緒の方向だよって感じで手をふる。話しかけてみた。

鳥「英語しゃべれますか?」

おばさん「あぁ、英語はちょっと」

鳥「私イタリア語少ししゃべれます」

おばさん「え、ほんと?」

そこから何歳?とかどっから来たの?とかどこ行くの?とか簡単なことを大学1年時に少し学んだイタリア語で話した。アルバニア人って照れ屋だけど話好きだ。すると自転車に乗ったおじさんがどこからともなく現れた。普通に英語を喋る

「へーい、どっから来たんだい」

おじさんはなんと客引きだった!アルバニアでも観光地だもんね!すごく嬉しくなった。なんでもおじさんのうちはホステルらしい、ベットが一つだけ余ってるからどうだ?という話しだった。ドミトリーで値段も安かったので即決。ついて行った。ベラトは山の合間にある街だった。川が中央に流れてて、川の向こうにはお目当ての場所らしい美しいギリシャ風の白い建物の旧市街があった。おじさんのホステルもそこにあって、驚くほど清潔で広々としたドミトリー部屋にベッドが3つ。確かに後の2つの横には荷物が置いてあった。

 

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ゲストハウス・ロレンツ清潔で面白いオヤジがいます

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ベラトの旧市街

おじさんはウェルカム・ワイン(自家製)を振舞ってくれて、庭でそれを飲んだ。イメージはまさにギリシャ。空気は綺麗で、肌に心地よく涼しい。猫がそこらへんにいてみんな毛並みがいい。緑の庭はいい適度に手入れされていて落ち着いた。おじさんはアルバニア語を少し教えてくれた。そのまま素敵な庭で日が沈むまでゆっくりしていてもいいかなと思ったけど、お散歩にでた。

ベラトはこじんまりした、くつろげる町だ。観光できるところはホステルのある旧市街と川の向こうにある城跡だけ。城跡までの道はもちろん上り坂だったが、本当に誰もいなくて落ち着いた。余りの気持ちよさに何度も伸びをした。

ひとに声をかけることの恐怖に打ち勝った私は、

一人でいるアメリカ人の女の子に声をかけた。

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海外女一人って目立つから自分から話しかけた

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ベラトの城跡にある正教会

外国では日本ほど一人旅は普通ではないように思う。男一人はまだしも、女一人旅をしている人に私はまだお目にかかったことがない。だからその白人女性というか私と同世代(20代前半)くらいのを見た時は胸が踊った。ベラトの唯一かつ小規模な観光地では動線は一本なので同じようなスピードで観光していると、声かけないと嫌っているみたいじゃない?っていう違和感があって何度かすれ違いざまに会釈した後私から声をかけた。

鳥「Hi あなたも観光客ですよね?どこから来たんですか」

彼女はアメリカ人だった。確かに外見は体型がずんぐりしてて、最低限の機能性と低コストを実現させた大量生産の服でアメリカンな感じはしていたが、喋ってみるとニコッと笑って声があんまり大きくない感じがアジア人の私としては好感がもてた。でも、割とすぐに言った。「彼氏とヨーロッパ一周旅行をしているのだ」と。そーかー・・・と若干失恋したような気持ちになった。彼女はベラトに着いた日からひどい熱が出ていて、今日の午後までずっと寝込んでいたそうだ。彼氏は彼氏でどっかに行ってるらしい。お互い名前を自己紹介したが、二言目ぐらいでどちらもおそらく忘れ、you and meで話しながら城壁を下った。彼女は私の30ユーロぐらいで買ったプラスティックの黒いワークブーツを褒めてくれた。いやいやH&Mだよというよくわからない謙遜をしてしまって自分も日本人だなと思った。彼女はアメリカで看護師をしていて、それが大好きな仕事だし、もともと働いていた職場はの人が最高だったと懐かしそうに言った。ただとても仕事が忙しくて休息が必要だと判断し、バーテンダーの彼氏もそれに便乗して二人でヨーロッパ旅行をはじめたそうだ。私は当時文学部の学生だったのでそう言うと、彼氏も大学で哲学を専攻しているが自分の職業と専攻を変えたいと言っているそうだ。今自分探し中なのだ、と。やっぱり文系はフラフラした人生を送っているものなのかなと思った。彼女とは新市街の入り口で別れた。自分の大好きな職業があって、彼氏もいて、働きすぎた自分の「休息」という目的のために旅をしている彼女が羨ましかった。それに引き換え、自分は目標も目的も彼氏もなく異国の地を彷徨う空気のような日本人。でも待てよ目的ならある。私はアルバニアに来て映画が見たいと思っていた。私は外国に旅行したら絶対映画館に入る。ティラナにも映画館があったけど、『ブリジットジョーンズの日記3』とか洋画しか上映されていなかった。ベラトは観光地だし、街も栄えているから映画館もあるだろう。

“現地ヒモ”とは、その性質と対策

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ベラトの城跡からの風景


そんなこと思いながら新市街を歩いていると、サングラスをかけた怪しい男にナンパされた。男はいきなり「ビューティフル」と私に言って私の横に着いて歩いた。「そこのバーでテレビ見ながらビール飲まない?」と誘ってきたが私は映画館を探していたので「ここに映画館ってない?」と聞くと、「映画館・・・」と考え込んだ。「チーネマだよチーネマ」と私がいうと、分かった!と言って案内してくれた。

これが私の人生初の“現地ヒモ”との出会いだった。現地ヒモとは“現地妻”から連想して私が勝手につくった男の種類だ。「発展途上国の観光地で、一人でいる外国人の女の前によく出没する現地の若い男」と定義している。彼らの90%(国によって違う)はボッてやろうという悪意はなく、ただ外国の女の子に声をかけて仲良くなり、食べ物や酒を奢られたり、観光案内をすることでプチデート感を味わうことが目的だ。チップがもらえたり、デートがもっと先まで発展すればなおのことよしだろうが。特にイスラム教の地域や閉鎖的な地方では、日本では当たり前の惚れた腫れたで付き合って、熱り冷めたら別れっていう活動を現地の女とやるのはリスクが高かったりする。それこそ“プライベート”な問題には止まらない。また一方で、見慣れない土地を一人で旅している女は一時的に現地のことを知る無害な男が隣にいてもそれはそれで迷惑ではないし、むしろその地域特有の文化を知り得るので歓迎なのである。そんな需要と供給に見合う形で現地ヒモというのは世界中の観光地に生息している。

要は生理的に嫌じゃないなら一緒にいても良いと思う

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正教会の中


私が出会ったこの現地ヒモ第一号は私を映画館に案内したが、そこはもうすでに廃墟になっていた。今はネットにいくらでも映画が落ちているし、映画よりもテレビを見るので映画館行ってわざわざ映画を見ようという人はいないのである。

彼も英語よりもイタリア語をよく話した。イタリアがシーズンの時には出稼ぎに行くそうで、今はシーズンが終わってしまったので実家に帰って、仕事もせず暇を持て余しているのだそうだ。彼はビールを飲みたがったが、私はコーヒーならいいよと言った。彼は映画の代わりにテレビがあるお店に連れて行った。カフェの下にはスイーツ屋さんがあって男はショーケースに並ぶなにやら白いパフェのようなものを指差して、これはすごく美味しいから買ったほうがいいと言った。「あなたも食べんの?」と聞いたら一回「いや俺はいいよ」と遠慮して首を横に振ったが、思い直して「2つください」と店員さんに言った。もちろん私が払った。上のカフェに持っていき、わたしはコーヒー、男はコーラを頼んだ。あとで私が払った。男は黙々とスイーツを平らげ、一瞬でコーラも飲み干すとテレビの方を見ながら暇そうにしていた。男は英語が苦手で、私のイタリア語は入門レベルだったのでやはり間が持たない。店員や配達の兄ちゃんたちが男に話に来るたびに、男は私を紹介した。すごく愛想がいい人ばかりでみんな私と握手をした。しつこくこれから飲みに行こうと誘われたが、自粛して宿に帰った。帰り道はもうすでに暗く、山からの風が冷たかったが、通りには私と逆の方向、つまり新市街の方に多くの若者が歩いて行った。中には女子も少なからずいて、イスラム教の地域にしては珍しいと思った。ヒールにスキニーデニムに革ジャン、頭にストール巻いた姿で歩く女子たちは私のことを見て微笑んだ。「え、もう帰るの?」と言うように。飲みかクラブにでも行くのか、あの好青年たちと私も行けばよかったな、と思った。

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自分の存在を意識的に無にする技術をもつ旅人

宿に帰ると、2人の宿泊者がすでに帰っていた。1人は金融機関で働いているという台湾人中年女性、1人は世界一周中の日本人青年だった。そこにいる3人とも一人旅中でアジア人なので同胞と巡り会えたようで心が和んだ。結局一人旅といいつつ、以外に一人ではないし誰かと一緒にいる時が一番楽しい。日本人青年は理系の大学を卒業して、一般企業に就職したがつまらなくて辞めて、アメリカに留学し、日本に帰りたくなくて世界一周を始めたそうだ。すごく早口で英語を喋るところが頭の回転の速さを物語っていた。台湾人は金融機関で働きながら、こうしてよく弾丸一人旅に出るのだという。今回も1週間でアルバニアマケドニアを通ってブルガリアに行くと言っていた。「やっぱり一人旅のほうが自由自在に動けるからいいわ、でも現地の人に『お前一人か?』って聞かれたら『友達と来てるのですが、別行動なんです』って言うようにしている」といってた。私は次の日彼女が旧市街を観光しているのを見たが、帽子に口元を隠すスカーフに、サングラスをしていて一瞬誰だかわからなかった。小柄な体で大きなカメラで写真を撮っていたのだが、なぜか黒子のように目立たない。場数踏んだ玄人だなと思った。

その日の夜は宿屋の主人がいきなりオペラを歌って踊り始めたと思ったら、一転シャワールームに髪の毛が落ちていると怒った以外何もなく平和に眠れた。この主人は多分すごく潔癖で自分で客引きしてアジア人だけを泊めるようにしているのだろう。なんにしてもその宿は本当に綺麗で落ち着くのでもう何日か泊まりたかった。またアルバニアに行ったら泊まろう。

無人の荒野に置き去りにされた

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翌朝シンプルで素敵な朝食をたらふく食べてベラトを後にした。急ぐ必要もない気がしたが、ベラトでアルバニアの面白さに開眼した私はもっといろんな所に行こうと思ったのだ。私の次なる目的地はポグラデッツという湖の町に決定した。ベラトからポグラデッツに行くには、エルバサンという所で乗り換えなければいけないと宿の主人に教わった。私はエルバサンという所にまたバスステーションがあってそこで、ポグラデッツ行きのバスがあるんだろう、と思っていたが違った。エルバサンで降りて「ポグラデッツに行きたい」と言うと何やら運転手の間で議論が交わされ始めた。7、8人が集まってアルバニア語でなんかんやと話していて、私はそのうちの一人の運転手のミニバンに乗ることになった。「へぇ、今度はバンかーポグラデッツってマイナーなんかな」と思いながら、バンが走ること30分。ただの道路でバンが止まった。私以外に2人バンから降りると、運転手は私の方を見て

「ポグラデッツ?」と聞いた。私は

「(首を縦に振って)ポグラデッツ!」と言った。

運転手は私に降りるように言っているみたいだった。「え、もう着いたの?」と思って降りてみると、本当にただの道路で街というかバスステーションですらない。いやいやこんななんもない所が日本人がちょちょいとリサーチしてわかる観光地なはずない。と思って、運転手に

「(指を地面にさして)ポグラデッツ?」

と聞くと運転手はもう低速で走り出しながら、「(そこだよ)」みたいなことを頑張って英語で言いながら、手で止まるようにジェスチャーする。「えぇえここではない絶対ない!」と思いながらも仕方なく、頷いて止まった。私以外に降りた2人もただの道路を渡って道端で立ち止まっている。ここで待っていればポグラデッツ行きのバスに拾ってもらえるんだろうかと思い、その人たちに話しかけた。

「ポグラデッツ?」

「・・・・」

男たちは私のことがまるで見えていないようだった。

もう一度英語で聞いてみる

「ここで待ってればポグラデッツにいけるんですか?」

「・・・・」

男は私の方を見向きもしない。若干うるさそうである。

違った。多分この男たちは自分の家に帰る車かタクシーを待っているのであって、ポグラデッツに行くのではないのだ。多分私の発音が悪すぎて全然違うところに連れてこられたのだ。道路には車がない。人も人家も何もない。とにかく日が暮れる前に町に行かなければ。そう思って歩いた。木も生えていない埃っぽい道路で、バックパックの水はチビチビ飲もうと思った。やっと沢木耕太郎になってきたか・・・と覚悟した瞬間、クラクションの音がププッと鳴った。バンが私の横で低速になる。運転手が私に何かを聞いている。

私は「ポグラデッツ!」言った。運転手は大きく頷いて、早く乗りなよとジェスチャーした。車内にはさっき下車した2人の男もいた。多分「あの子もポグラデッツに行きたいみたいだよ」と運転手に教えてくれたに違いない。相変わらずこちらを見もしなかったが。

ポグラデッツまでの道のりは長かった。4、5時間は走ったと思う。途中途中休憩があって私は男に混じってタバコを吸うと、ジロジロ見られた。初めて人権を獲得したのだ。乾いた岩山が続いて、いくつかの山を越えると、海のように大きな湖が見えた。そこがポグラデッツだった。

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ポグラデッツ オフリド湖沿岸を歩く

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誇張でなく落ち着いた穏やかな気持ちになれる町でした