鳥の巣箱

せまいところですが、ごゆっくり

【アルバニア旅行⑤】アルバニア人青年とのお話など

f:id:torisann:20181005210329j:plain

ひたすら歩いたマケドニアアルバニアとの国境


アルバニア警察が謎だった件

だが、問題の入管でまた通せんぼを喰らった。今度はアルバニアの入管で何故か私を乗せてくれた優しい兄弟は車を取られてしまった。入管はクリント・イーストウッドを怖くしたような見た目でいかついゲシュタポを思わせる制服を着ていた。長い間兄弟と議論を交わしていたが、車は返してもらえず、私たちは近くのカフェに入ることになった。「私を連れているからこうなったのか」と聞くと「いや、アルバニアの警察は何かとイチャモンをつけて賄賂を要求するのさ」と言った。兄弟には何の非もなく自分たちの車を取られ、「返して欲しけりゃ金よこせ」ということらしい。兄弟は友人に電話をし、迎えに来るように頼んだ。

弟は私よりも年下だった。英語がとても流暢なのに大学にも行かず、定職にもありついていないとのことだった。日本のヤクザ映画を見たことあると言った。

鳥「そういえば、ポグラデッツに映画館ってある?」

弟「昔はあったけど無くなったよ」

鳥「そうか、っていうかアルバニア映画ってあるの?」

弟「今、作り始めてるところだと思うよ、でもまず経済がよくならないことにはね、EUに入ろうとしているところだけど、上手くいってないみたい」

鳥「EUだって上手くいってるとは言い難いし、アルバニアはこれでいい国だと思うけどなぁ」

弟「うん、そう。アルバニアはとってもいい国さ。アルバニア人は他人に卑屈にもならないし、意地悪にもならない。外国人にだって注目もしないし、嫌いもしない」

鳥「そうそう、そういう感じが好きなんだよね」

弟「あ、でもコソヴォの人はバカで野蛮だから行かない方がいいぜ」

鳥「そうなんだ笑」

弟「あと、ポグラデッツはまだ観光とかあって栄えてるけど、アルバニアの本当の田舎の人間は他人のことを考えない。ポイ捨て平気でするし、人が困ってても無視する」

 

同じようなセリフを私はパリ滞在中に聞いた。私が「パリの人は本当にみんな親切ですね」というと、その人は「それは君がパリの中心に住んでるからだよ。パリの北に住んで同じことが言えるか試してごらん」と言った。

私はオフリドが大観光地でつまらないと思ったけど、外国で私たちが見ているのはどのみち、その国の本当に栄えた美しいものの断片でしかない。貧困で教育の機会も移動の自由もそれを考える余裕すらない人は卑屈にならざるを得ない。私はその人たちには行き届いていない、経済の恩恵を受けたアルバニアの中でも行き届いた道路、バス、街という安全な動線上で移動を繰り返しているに過ぎないのだ。場所が違えば私は死んで当然だった。経済の安全圏から私は何を言っているんだと恥じた。

 

彼らの友人の迎えの車が来て、兄の方が入管から車を取り返した。何故か助手席にはあの意地悪イーストウッドが乗っていて、ちゃっかり送ってもらっていたので「自分がそろそろ上がりだから送りの車を差し押さえたんじゃ」と思えた。でも車内では兄弟と親子のように楽しげに話をしていたからいいかって観光客っぽい感想を持った。

 

f:id:torisann:20181005210712j:plain

ジロカストラはアルバニア最大の観光地だった点

次の日、大好きになったポグラデッツを後にした。例によって、もっとアルバニアを見たいという気持ちが先走ったのだ。次なる目的地はアルバニアの古都であり最大の観光地であるジロカストラに決めた。ジロカストラは、アルバニア人ノーベル賞作家のイスマイル・カダレと、有名なスターリン主義独裁者のエンヴェル・ホッジャの生まれ故郷で、文化の中心と言えるかもしれない。ポグラデッツからジロカストラにいくには、まずエルバサンで乗り換え、フィオールで乗り換えて行かなくてはならない。私はまず、ティラナ行きの大型バスに乗り、エルバサンまで行った。大型バスはちょうど通りを走っていたところを乗せてもらったのでほとんど席が埋まっていて先頭の席に座った。なので、アルバニアの道路でいかに動物の死体が多いかたんまり見ることになった。運転手と運賃徴収係と私の隣に座っていた女の人はまるで幼馴染見たく終始はしゃいでいた。猫の礫死体があると、「ぎゃーおおおおーう」と目を隠し、吐き気を堪え、同業者とすれ違うたびに様々なバリエーションで挨拶をし、飛び出した老人に向かって全身を使って叱った。エルバサンからは少し歩いてバス・ターミナルまで行ったが、マーケットを通るときに高校生や店の人にやたら反応された。おそらく、割と外国人に慣れている地域なのだろう。私はその反応に慣れなかったので、美味しそうな屋台もすべてスルーした。フィオールからジロカストラに行くバスではいつもよりも2倍近く高かった。もちろん時間もかかったのだが、いよいよ観光地に行くのだなと身構えた。案の定、ジロカストラに着くとタクシーが待ち構えていた。私は目当ての安宿の住所のところまでタクシーで行った。ホステルの主人は私に最初一泊15ユーロだと言った(アルバニアでは現地通貨のレクとユーロどちらも使える)私は他の人のブログで10ユーロだと読んでいたので、値切り交渉をすると10ユーロまで下げた。しかし、そこまであっさり下げられると返って「さっきはふっかけたな!」という不信感がふつふつと湧いて来た。そして、なぜかもっと更なる値下げを要求してしまった。主人は「10ユーロがジロカストラの宿では最安値だぞ」と言ったが私は信用できず、「他の宿を見てから決める」と言って後にした。